配偶者居住権×小規模宅地の特例×配偶者控除
結構テンションが下がるような映画を観た後に、
自分の存在意義とか、
何のために生きているのかを考えて、
さらにテンションが下がるのですが、
結局最終的にはそんなこと考えて悶々とするよりも
日々楽しくできるように行動した方がいい
って考えに落ち着きます。
日々を楽しめないと将来もきっと楽しくないと思いながら、
ブログを書いている営業部長の田中です。
今回は、相続税です。
個人に対して課かってくる金額のインパクト大きい税金です。
令和2年4月に民法の改正で新設された
配偶者居住権および配偶者居住権に基づく敷地利用権と、
前からあった小規模宅地の特例と
配偶者控除を使った節税スキームをご紹介します。
※イメージが大事なので細かい要件等は省略。
専門用語がわかりづらいので、まずは登場人物から。
とその前に、
世にあるだいたいの例(90%以上)が、
男性(パパ)が先に亡くなって、女性(ママ)が未亡人になるパータンで、
子供がいるという設定の時は、息子ばかりです。娘は全然出てこないです。
揉めているパターンの時は、妹の設定で、娘が登場することが多いです。
(だいたい娘が登場するときは、娘の旦那がいろいろ口出ししていて、
娘は不憫なヒロイン的ポジション)
ママが亡くなって、娘のいるパパがシングルファーザーになるパターンでもええやん!!!
とかって思ったりもしたのですが、
世にある一般的なパターンでご紹介をします。
・登場人物と設定
被相続人:亡くなった方(パパ)
相続人:財産を引き継ぐ人(ママ、長男)
パパがなくなるまでは、家族一緒に住んでいました。
次に相続税特有の専門用語。
敷地利用権は、ママがパパと一緒に住んでいた家の土地をママが使用する権利
敷地所有権は、長男が家の土地を持つ権利
小規模宅地の特例は、一緒に住んでいた家の土地が80%OFFになるクーポン
配偶者控除は、配偶者が相続する財産の評価額1億6,000万円までなら税金がかからない特例
専門用語のご紹介はこのへんにして、具体例で考えていきたいと思います。
相続財産の中でも、一番の割合を占める可能性の高い家の土地を抜粋しております。
また、説明の便宜上、基礎控除(3,000万円+法定相続人の人数×600万円の控除)も無視しております。
自宅建物につきママが敷地利用権を取得し、長男が敷地所有権を取得するという一例。
・自宅の居住状況
相続開始後も申告期限までママと長男で居住
・自宅土地の評価額
(ママ取得)敷地利用権の相続税評価額 3,000万円
(長男取得)敷地所有権の相続税評価額 7,000万円
合計:1億円
地積 500㎡
敷地利用権の細かい設定や評価額の計算はややこしいため省略。
1.小規模宅地の特例の計算をします。
金額をベースに按分して面積をママの分と長男の分に分けます。
①敷地利用権(ママ取得分)
500㎡×3,000万円/1億円=150㎡
②敷地所有権(長男取得分)
500㎡×7,000万円/1億円=350㎡
2.どうやって80%クーポンを使うかを考えます。
①ママの敷地利用権を優先して適用した場合の特例適用額
3,000万円×80%(敷地利用権)=2,400万円OFF
7,000万円×(330㎡※1-150㎡※2)/350㎡(敷地所有権)×80%=2,880万円OFF
※1 小規模宅地の特例が使えるのが330㎡まで
※2 ママの取得分
合計2,400万円+2,880万円=5,280万円OFF
ママの敷地利用権:600万円(3,000万円-2,400万円)
長男の敷地所有権:4,120万円(7,000万円-2,880万円)
合計:4,720万円
②長男の敷地所有権を優先して適用した場合の特例適用額
7,000万円×330㎡/350㎡×80%(敷地所有権)=5,280万円OFF
ママの敷地利用権:3,000万円(3,000万円-0万円)
長男の敷地所有権:1,720万円(7,000万円-5,280万円)
合計:4,720万円
この時点では、控除される金額は同じですが、
1億6,000万円控除できる配偶者控除を考えた場合、ママの分の税金が0円になるので、②が有利になります。
だったら、この1億6,000万円も控除できる配偶者控除があるので、
めんどうな配偶者居住権を設定せずに、
すべての土地1億円分をママに引き継いでもらえればいいのではと思いませんか?
思いますよね?
今回の相続で終わりであれば、その相続財産の分け方で問題ありませんが、
ママもいずれは亡くなるのです。
そのため、その時に相続が発生して、
ママの相続財産を長男が引き継ぐことになります。
この時、長男は配偶者控除が適用されないので、
莫大な税金を払わなければならなくなります。
そのようなことにならないために、
配偶者居住権を設定してママに引き継いでもらうのです。
敷地利用権も3,000万円の価値があって、それに対して税金がかかるのでは?
そこが、
今回のポイントで、
敷地利用権は、あくまで利用する権利です。
そのため、その利用する人が亡くなったときに、権利もなくなるのです。
結果、ママの相続発生時は、敷地利用権はないことになり、
その3,000万円に対する税金が節税できることになります。
今回は、3人家族の一例をご紹介したのですが、
家族構成や持っている財産もそれぞれ全く違うため、
それぞれにあった相続対策が考えられます。
相続税は、やっとけば良かったとか知っておけば良かったというものが多く、
数千万円も税金が変わる方もいるので、
相続税について、もっと知りたい等ございましたら、
お気軽にお問合せ下さい。
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