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請負と委任の区別

おはようございます。

久しぶりにいい天気な気がします。

週末に弟夫婦と妹を招いてバーベキューをするので、このままいい天気でいてほしいです。

さて、本日は印紙税の判断で最も悩むであろう、請負と委任の区別のお話をします。

なんのこと?という方。

印紙税法上、請負の契約書であれば、印紙税がかかって、委任の契約書であれば、印紙税がかからない、というお話なのです。

実務に触れてらっしゃる方には共感いただけると思うのですが、この区別が非常に難しい。

今回は請負と委任の区別で悩まれている方々の一助になればと、テーマに取り上げてみました。

職業柄、まずは条文を確認したくなりますので、請負と委任の定義を条文で見てみましょう。

請負と委任はそれぞれ、民法に定めがあります。

 

(請負)

第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(委任)

第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(準委任)

第656条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

 

関係する条文は他にもあるのですが、このくらいにしておきます。

では、3回ぐらい読んでみましょう。

請負と委任の違いが見えてきましたか?

請負:一方が仕事を完成させて、相手方がその結果に対して報酬を支払うこと

委任:一方がある行為を委託して、相手方がそれを承諾すること

つまり、請負は「結果」が目的で、委任は「行為」が目的です。

大丈夫ですか?ついてきてますか?

税理士の顧問契約書が非常に分かりやすいので例を挙げましょう。

 

顧問契約書

委任者 ○○○○(以下「甲」という。)と受任者 金子公認会計士税理士事務所(以下「乙」という。)は、甲の業務に関して下記のとおり顧問契約を締結する。

  第1条 顧問業務の範囲

   税務に関する業務の範囲は、次の項目とする。

    1 甲の法人税、事業税、住民税及び消費税の税務書類の作成並びに税務代理

    2 甲の税務調査の立会

    3 甲の税務相談

   会計に関する業務の範囲は、次の項目とする。

    4 甲の総勘定元帳及び試算表の作成並びに決算書の作成

    5 甲の会計処理に関する指導及び相談

   前記に掲げる項目以外の業務については、別途協議の上、決定する。

 

これは、私の事務所の契約書ひな形の抜粋です。

さて、5項目あるので、それぞれ見ていきましょう。

1 甲の法人税、事業税、住民税及び消費税の税務書類の作成並びに税務代理

 「並びに」の前と後に請負と委任が混在しています。

  前半は税務書類の作成という仕事の結果が目的ですので、請負です。

  後半は税務代理自体が目的ですので、委任です。

2 甲の税務調査の立会

3 甲の税務相談

  これらは、調査に立ち会うことや相談すること自体が目的ですので、委任です。

4 甲の総勘定元帳及び試算表の作成並びに決算書の作成

  おもいっきり作成ですね。作成という結果が目的ですので、請負です。

5 甲の会計処理に関する指導及び相談

指導と相談という行為が目的ですので、委任です。

いかがでしょうか。何となくご理解いただけましたか?

要は、

請負とは、成果や結果を出すことが目的

委任とは、ある行動をしてもらうことが目的

です。

ちなみに、上記のように、請負と委任が混在していることはよくあります。

請負の項目が1つでも入っている場合には、2号文書として課税されます。

したがって、印紙税の判定には条文一つ一つを丁寧に読み込んでいく必要があるんです。

ちなみに、上記のテンプレを使っている顧問先との契約書には当然印紙を貼っています。

少し加工して貼っていないお客様もいらっしゃいます。

請負と委任の区別について、皆様の一助になれば幸いです。

楽せず楽しい人生を。今日も頑張りましょう。

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