投資詐欺にご注意を!!

最近よくInstagramやTiktokで見ていると、○○円投資して、3か月で○○円UPした!など、
投資を促すCMがよく流れてきています。
もちろん、まともな案件もたくさんあるのですが、
まともじゃない案件も多くあります。
まともじゃない案件にひっかからないためには、投資の知識はしっかりと身につける必要があります。
COOの田中です。
まともじゃない案件、つまり、投資詐欺ですね。
そこで、今回は昔からある典型的な投資詐欺のスキーム、ポンジスキームをご紹介します。
ポンジスキーム(Ponzi scheme) とは、
新規投資家から集めた資金を既存の投資家への配当に回すことで運営される詐欺的な投資スキームのことです。
本質的には、実際の収益を生み出すビジネスモデルが存在せず、
資金の流入が止まると崩壊する仕組みになっています。
ポンジスキームの特徴
高い利回りを約束
「毎月10%の利益保証」など、非現実的なリターンをうたう。
「リスクゼロ」「必ず儲かる」などの甘い言葉で勧誘。
資金の流れが不透明
事業内容が明確でなく、投資資金の運用方法が不透明。
配当金の支払いが、実際の収益ではなく新規投資家からの資金に依存。
紹介・リクルート制度
既存投資家が新しい投資家を勧誘すると報酬を得られる仕組み。
ネズミ講(マルチ商法)と似ているが、商品の販売がない点で異なる。
持続性がない
新規投資家の募集が止まると、資金の流入が途絶え、崩壊する。
多くの場合、運営者が資金を持ち逃げするか、破綻する。
ポンジスキームの実例
1. チャールズ・ポンジ事件(1920年)
ポンジスキームの名前の由来となったチャールズ・ポンジは、
国際郵便のクーポン取引で利益を得ると偽り、
多くの投資家を騙しました。
しかし、実際の利益はなく、新規投資家からの資金を使って配当を支払っていました。
最終的に、投資家が資金を引き出そうと殺到し、詐欺が発覚しました。
2. バーニー・マドフ事件(2008年)
ウォール街の著名な投資家バーニー・マドフは、
数十年にわたり約650億ドル(約9兆円)規模のポンジスキームを運営。
リーマン・ショック後に資金の引き出しが相次ぎ、詐欺が発覚しました。
マドフは懲役150年の判決を受けました。
ポンジスキームと合法的な投資の違い
項目 | ポンジスキーム | 正規の投資 |
収益源 | 新規投資家の資金 | 事業・投資の実際の利益 |
リスク説明 | 「リスクゼロ」 | リスクとリターンを明確に説明 |
持続性 | 必ず破綻する | 市場に応じた継続性あり |
資金の透明性 | 不透明(運営者の自由) | 監査・開示義務がある |
ポンジスキームは新規投資家の資金を使って既存投資家に配当を払う詐欺的なスキームで、最終的には破綻します。
高利回りの投資話には慎重に対応し、「簡単に儲かる」「リスクゼロ」 という言葉に騙されないことが重要です。
なのですが、なぜ多くの人が騙されていて、
なお今もこのポンジスキームが多く存在するのかを心理学的な目線から、考えてみます。
ポンジスキームは、人間の心理が巧みに操作されていて、
どのような心理メカニズムが働いているのかを解説します。
1. 希少性の原理(Scarcity Principle)
人は「手に入りにくいもの」に価値を感じる
社会心理学者ロバート・チャルディーニ(Cialdini, 2001)は、
「希少性の原理」によって人の行動が大きく左右されることを指摘しました。
ポンジスキームでは、
「この投資案件は限られた人しか参加できません」
「今だけの特別オファーです」
といったメッセージを発信します。
→ なぜ騙されるのか?
人間は、手に入りにくいものほど価値があると錯覚する
「今すぐ決断しなければならない」と焦らされ、冷静な判断ができなくなる
→ 予防策
「限定」「今だけ」「特別」といった言葉を聞いたら、まずは時間を置いて冷静に考える
すぐに決断を迫る投資案件は、一旦疑う
2. 社会的証明(Social Proof)
「みんながやっていることは正しい」と思い込む心理
社会心理学では、「社会的証明(Social Proof)」と呼ばれる現象があります(Cialdini, 2001)。
これは、他人の行動を見て、自分の判断を決めるという心理メカニズムです。
ポンジスキームでは、SNSや口コミを利用して「多くの人が儲かっている」と思わせます。
例えば、以下のような手口があります:
「○○さんは、たった1ヶ月で投資額が3倍になりました!」
「この投資クラブのメンバーはすでに成功者ばかりです!」
YouTubeやInstagramで、成功者の生活を演出(高級車、ブランド品、リゾート地での写真など)
→ なぜ騙されるのか?
「これだけの人が成功しているなら、自分も大丈夫だろう」と思う
実際には詐欺の一部である人(サクラ)が成功しているように見せていることに気づかない
→ 予防策
他人の成功談や口コミだけで判断しない
SNSの投稿が「本物の実績」かどうかを確認する
その投資の「実態」(事業内容や収益モデル)を冷静に分析する
3. 認知的不協和(Cognitive Dissonance)
「騙された」と認めたくない心理
人間は、自分の選択を正当化しようとする傾向があります(Festinger, 1957)。
ポンジスキームに投資した後、「これは詐欺かもしれない」と感じても、多くの人は次のように考えます:
「いや、きっと本当に儲かるはずだ」
「有名な人も推奨しているから間違いない」
「まだ損していないし、大丈夫だろう」
この心理を**「認知的不協和」**と呼びます。
詐欺だと認めると、自分の判断ミスを受け入れなければならず、
それが苦痛になるため、「これは正しい選択だ」と思い込もうとします。
→ なぜ騙されるのか?
一度投資すると、「自分の判断が正しい」と思い込みたくなる
詐欺の可能性を感じても、「もう少し様子を見よう」と考えてしまう
→ 予防策
自分の判断に対して、第三者の客観的な意見を求める
「もしこれが詐欺だったらどうなるか?」と考える習慣をつける
4. 損失回避バイアス(Loss Aversion)
「損したくない!」という心理が冷静な判断を妨げる
カーネマンとトヴェルスキー(Kahneman & Tversky, 1979)によると、
人は「得をすること」よりも「損をすること」を強く避ける傾向があります。
例えば:
1万円を確実にもらう vs. 2万円をもらえるが50%の確率で0円
多くの人は「1万円を確実にもらう」を選ぶ(損を避けたいから)
ポンジスキームでは、この心理を逆手にとって次のように働きかけます:
「今辞めたら、せっかくのリターンを逃してしまいますよ!」
「追加投資すれば、元本を取り戻せますよ!」
→ なぜ騙されるのか?
「損を取り返したい!」と思って、さらに投資してしまう
途中でやめる決断ができず、被害が拡大する
→ 予防策
「損を取り戻すために追加投資する」のは最悪の選択肢
「今損切りすれば被害が最小限になる」と考える癖をつける
5. 過信バイアス(Overconfidence Bias)
「自分は騙されない」と思う人ほど騙される
心理学の研究によると、人は自分の知識や判断力を過信しやすい(Pallier et al., 2002)。
特に、投資経験が少しある人ほど、「自分は詐欺を見抜ける」と思い込む傾向があります。
→ なぜ騙されるのか?
「この案件はちゃんと調べたから大丈夫」と思い込む
実際には、「詐欺師の用意した情報」に基づいて判断している
→ 予防策
「自分は騙されない」という思い込みを捨てる
他の専門家や第三者の意見を聞く
6. カリスマ性・権威への服従(Authority Bias)
有名人や「専門家」の言葉を鵜呑みにしてしまう
スタンレー・ミルグラムの実験(Milgram, 1963)では、
人は権威のある人に指示されると、通常ではしないような行動を取ることが示されました。
ポンジスキームでは、次のような手口が使われます:
「元証券会社の社員が推奨!」
「経済アナリストも注目!」
「大手メディアでも紹介!」
→ なぜ騙されるのか?
権威がある人の言葉を信じやすい
「専門家が言っているから安心だ」と思ってしまう
→ 予防策
その人の「過去の実績」「金銭的な関係」を調べる
「誰が言ったか」よりも「何を言っているか」に注目する
まとめ
ポンジスキームは、人間の心理的バイアスを巧みに突いてくるため、多くの人が騙されます。冷静に判断するためには、これらの心理的罠を理解し、常に慎重に行動することが重要です。
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