会社の理念
- 田中 成和
- 9月10日
- 読了時間: 5分

サッカーは11人対11人でするスポーツで、いくら上手な2トップがいたとしても、試合には勝てない。
ディフェンスがボールを奪って、中盤でパスをつないで、トップがシュートを決めないと点が入らず、勝てないです。
サッカーはチームプレー、組織力が肝になってくるスポーツです。
一方で、会社も組織力が試される、もちろん一人で事業をされる方もいますのが、
規模を拡大していくと一人では限界があります。
そうなると、組織として動いていくしかなくなります。
今まで我々も2トップでゴリゴリにやってきたのですが、さすがに限界が来ているので、
組織力を高めて、次のステージに向かっていこうとしています。
COOの田中です。
目的――理念
サッカーチームであれば、勝つこと、
サークルであれば、楽しむこと、友達を作ること、
商工会であれば、街を良くしていくことなど、
それぞれのコミュニティには、目的があります。
この目的を会社バージョンに難しく言い換えたのが、理念になります。
ということで、今回のテーマは会社の理念になります。
会社の理念を作る目的――飾りではなく“意思決定エンジン”として
会社の理念は、立派な言葉を壁に貼るためのものではありません。
理念は、日々の迷いを減らし、事業をぶらさず、仲間とお客様の信頼を積み上げる
“意思決定エンジン”です。
ここでは、なぜ理念をつくるのか、その実利と使い方をブログ風にまとめます。
1) 判断のブレを減らすコンパスになる
市場が変わり、案件ごとに条件が違うほど、意思決定は難しくなります。
理念があると「短期利益は出るが約束を曖昧にする案件」を断る勇気が持てるし、
「負担は大きいが顧客価値を最大化する施策」に踏み切れます。
判断の軸が共有されていれば、誰が決めても結論が似てくる。
これがスピードと一貫性を生みます。
2) 採用・育成で“合う人”を選べる
理念は「どんな人と働きたいか」を明確にします。
たとえば「顧客起点」「正直さ」「学習する姿勢」を掲げている会社は、
面接でその行動証拠を問えるし、入社後のオンボーディングもズレません。
理念を体現できる人が集まると、文化は自然と強化され、離職率も下がります。
3) 顧客にとっての“約束”になる
価格や機能は真似されますが、理念はコピーされにくい差別化要素です。
「困った時ほど前に出る」「小さく早く改善する」など、
理念由来の振る舞いは顧客体験の質を底上げします。
トラブル時にこそ理念が生き、長期の信頼残高を増やします。
4) 戦略と日々のKPIをつなぐ
中期戦略、プロダクトの優先順位、撤退基準、OKR
――これらを理念に接続すると、数字が“意味”を持ちます。
追うべきKPIが理念と矛盾していないかを常に点検でき、
短期目標のために長期価値を毀損するリスクを下げます。
5) 逆風に強くなる
不況、炎上、規制変更。外部環境が揺れるとき、
理念は「何を守り、何を捨てるか」を決める最後の砦です。
理念が腹落ちしていれば、一時的に売上が落ちても、筋を通した判断を選べる。
これが企業の“回復力(レジリエンス)”です。
6) 権限移譲を加速する
現場が自律的に動けない会社は遅くなります。
理念は経営者の分身として機能し、細かな承認を待たずに判断できる範囲を広げます。
結果として、創造性とスピードが同時に上がります。
7) 社会・投資家・パートナーへの信号
理念は外部ステークホルダーへの約束でもあります。
地域やサプライヤーに対して「この会社と長く付き合えるか」の判断材料になり、
投資家には長期の方向性を示すメッセージになります。
ESGの文脈でも、言行一致の理念は強い信用になります。
8) 作り方のコツ(実務)
短く、行動動詞で。
抽象語の羅列(誠実・挑戦・貢献…)だけでは運用できません。
「約束は守る」「最短で仮説検証する」など行動に落ちる表現に。
MVVを役割分担。
Mission(存在意義):誰のどんな課題を、なぜ解くのか。
Vision(ありたい未来):3〜10年後にどうなっていたいか。
Values(行動基準):日々どう振る舞うか。評価と結びつける。
社内ワークショップで言語化。
経営陣の草案→現場の事例を集めて推敲→「やらないことリスト」も同時に定義。
物語化する。
創業の原体験、顧客とのエピソード、失敗から学んだ教訓をセットで語ると、腹落ち度が上がります。
仕組みに組み込む。
面接質問、評価項目、表彰制度、朝礼の共有、1on1でのフィードバックなど、
“毎日触れる接点”に埋め込む。壁に貼るだけは厳禁。
経営陣が最初の実践者。
言葉より行動。トップが体現しない理念は一瞬で形骸化します。
8) まとめ:理念は“未来からの逆算書”
理念は美文ではなく、未来から逆算して今日の選択を導くための実務ツールです。
判断のスピードを上げ、採用と育成を整え、顧客体験を磨き、逆風時のぶれない軸をつくる。
つくって終わりではなく、仕組みに埋め込み、語り、測り、更新する。
この地道な運用が、事業の再現性とブランドの厚みを育てます。
あなたの会社は、どんな約束で世界と向き合い、どんな行動でそれを証明しますか
――その答えを言葉にし、毎日の意思決定に流し込む。
それが、理念を作る本当の目的です。
楽せず、楽しくいきましょう~





















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