財務諸表の読み方講座~損益計算書を読んでみよう編~
本日も先週に引き続き、【財務諸表の読み方】というテーマでお送りします。
前回までの内容はこちら
今回は「損益計算書を読んでみよう編」として損益計算書を少し掘り下げます。
損益計算書=1年間の活動結果の集計表
でしたね。
損益計算書では1年間で会社がどれくらい儲けたのか、を計算します。
このどれぐらい「儲けたか」というのがポイントです。
よくテレビや新聞で、「年商○○億円」とか「年収○○万円」等々使われています。
一般的にこれらはあくまで「売上」を示すもので「儲け」を直接示しているわけではありません。
「売上」はその名の通り、何かを売ったときのその売価です。
居酒屋に飲みに行って、皆様が支払う金額こそがそのお店の売上です。
一方、「儲け」と言いますと、この「売上」からそこにかかった費用を控除したものです。
居酒屋ならば、食事の材料代やお酒の仕入代、そこで働く従業員の給料や、家賃、電気代などですね。
売上が何十億円あろうが、儲けていないとお金は残らないので、上記の言葉を聞くと、「一体いくら儲けているのだろう?」ということが気になってしまいます。
(職業病ですね)
さて、損益計算書では「儲け」を売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益の5段階に区分しています。
図にするとこんなイメージです。
(今回は前回の反省を生かしました)
売上総利益
会社の本業からの純粋な利益です。ここが赤字だったらかなり厳しいです。
ビジネスモデルの変更や廃業も視野に入れる必要ありです。
いわゆる粗利と呼ばれるもので、家電量販店なら売上からメーカーから買ってきた
商品の仕入代金を差し引いたものです。なので、本業からの純粋な利益ですね。
営業利益
売上総利益から人件費や本業に関連する費用(家賃とか、広告費とか)を引いたものです。
ここが黒字ならば一安心。テレビCMの広告代金とかはここで控除です。
経常利益
本業以外の収益や費用を営業利益にプラスマイナスします。
受取配当金とか、借金の利息とかですね。
資金繰りが厳しい(=借金多い)会社だと営業利益は黒字でも経常利益が赤字になったりします。経常の意味そのままで、毎年の経常的な利益がここで分かります。
当期純利益
経常利益から特別(=たまにしか発生しない、すごく多額)な利益や損失を加味します。
補助金の収入があったとか、火災があったとかです。
上記からさらに税金を控除して算出されますので、この利益が今年の最終的な成果です。
余談ですが、上記を意識して新聞を読んでみてください。
実は様々な利益が並んでいます。
ちょっと見てみましょう。
(フィクションです)
○○鉄道、経常利益○○円!
そうか、利益出ているのか!よし、株買おう!!
ちょっと待ってください。
経常利益なので、毎年の経常的な利益は出ているが、特別な利益や損失が加味されていません。
特別損益の項目に損失が計上されていて最終的な利益は赤字かもしれないので確認してみましょう。○○っていう事故があった気がするなぁ。
○○通信会社、営業利益○○円!
そうか、たくさんCMしているし、好調なんだ。
よし、乗り換えようかな!!
ちょっと待ってください。
社債を大量に発行しているので、支払利息がすごい額になっているはずだから経常利益はどうなっているのか確認しよう。
「なぜ、その会社の業績を知りたいのか」
「どの利益を知る必要があるのか」
を、しっかりと確認しておかないで、赤か黒かだけを追うと痛い目をみるかもしれません。同じ利益で比較しないと本来の意味にはなりませんね。
いかがでしょうか。
損益計算書の読み方がざっくり分かっていただけたでしょうか。
(専門家でない限りざっくりでいいです)
次回は、財務諸表を使った経営分析をしてみよう編をやります。
今週も楽せず、楽しい日々を過ごしましょう。